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子どもの発達段階と言語発達:言語聴覚士がわかりやすく解説

赤瀬 匠弥
  • この記事の対象:1–6歳のお子さん/保護者・保育教育関係者
  • わかること:年齢別の目安、発音の発達、家庭での関わり、受診の目安
  • 所要時間:7–10分
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はじめに

  • ことばの発達は「耳(聴覚)」「お口の機能(食べる・発音)」「遊び・社会性」「認知(わかる力)」が土台になって進みます。子どもによってペースは違いますが、早めに気づいて関わり方を整えると、ぐっと伸びやすくなります。

年齢別の発達目安
(ことば・コミュニケーション中心)

  • 0–1歳
    【聞く・注意】音に振り向く/名前に反応。共同注意(指さし先を見る)が9–12か月頃。
    【話す準備】クーイング(2–3か月)→喃語(6–10か月)。身振り(バイバイ、指さし)が増える。
    【理解】簡単な日常語が分かりはじめる(「おいで」「ちょうだい」)。
    【食べる】ミルクから離乳食へ。もぐもぐのリズムが整う。
  • 1–2歳
    【語彙】初語~50語前後へ(個人差大)。擬音語も多い。
    【表出】2語文が出始める(「ママ きた」「ワンワン いた」)。
    【理解】身近な名詞・動作語を理解。「○○ちょうだい」が通る。
    【遊び】ごっこ遊びの芽。見立てが出る。
    【食べる】歯ぐき・舌・唇の協調が進み、食感の幅が広がる。
  • 2–3歳
    【語彙】200–500語へ。助詞が少しずつ出る(「に・で・を」など)。
    【文の長さ】2–3語文中心→「主語+述語+目的語」へ。
    【理解】2つの指示が通りやすい(「靴持ってきて、玄関において」)。
    【社会性】簡単な順番待ち・共同遊びのはじまり。
    【わかりやすさ】はじめて会う大人への了解度:おおよそ50–75%が目安。
  • 3–4歳
    【文法】助詞が安定。「なぜ?」質問が増える。因果のことば(だから、でも)に触れる。
    【物語】出来事を順序立てて話す練習期。
    【音韻意識の芽】ことば遊び・しりとりまねごと。
    【わかりやすさ】不馴れな大人への了解度:75–90%程度。
  • 4–5歳
    【語用】会話の順番・話題維持が上手に。説明的な語り(誰に・いつ・どこで)が育つ。
    【理解】条件・否定・比較など抽象的表現を取り入れ始める。
    【文字への準備】リズム・モーラ(拍)を感じ、しりとり・音の分解遊びが伸びる。
    【わかりやすさ】90%以上が目安。
  • 5–6歳(就学前)
    【文法・語彙】接続詞・接尾辞・敬語の入り口。定義的な説明が可能に。
    【語り】起承転結のある物語。要点を抜き出す力。
    【音韻意識】モーラ分解→拗音・促音・長音も意識化。
    【学習準備】聞いて理解→課題に取り組む流れが整う。

上記はあくまで「目安」です。2–3か月のズレは珍しくありません。

日本語の「発音(構音)」発達の目安

  • 日本語はモーラ(拍)でリズムをとる言語。拗音(きゃ・しゅ等)や促音(っ)、長音(ー)は就学前にまとまることが多いです。
項目目安時期よくあるつまずき家での関わり
母音
(あ・い・う・え・お)
1.5–2歳母音の弱さ・無声化ゆっくり大きめにモデリング(例:「あーおいね」)
ま行・ば/ぱ行2–3歳口唇を閉じにくいストロー飲み、唇を合わせて「んー」「もー」遊び
か/が・た/だ・な行2–3歳奥舌/前舌の入れ替え(た↔か)舌先の場所を鏡で確認、口の形を一緒に作る
は行・わ/や行3–4歳息の弱さロウソク/羽をふく、息のオン/オフ遊び
さ行(さ・す…)4–5歳しゃ行と混同、舌突出歯のすき間からそっと息を出す、「スー」練習
しゃ・ちゃ・じゃ行(拗音含む)4–6歳「しゃ→ちゃ」「ちゃ→た」先に「し」「ち」を個別練習→「しゃ」「ちゃ」へ
ら行
4–6歳
「ら→だ/な」
舌先を上歯の後ろに軽くタップ「ら・ら・ら」
拗音(きゃ/きゅ/きょ等)・促音(っ)・長音
5–6歳
「きゃ→きや」「がっこう→がこう」
手拍子でモーラ分け:「が|っ|こ|う」
4–6歳「ら→だ/な」舌先を上歯の後ろに軽くタップ「ら・ら・ら」
拗音(きゃ/きゅ/きょ等)・促音(っ)・長音5–6歳「きゃ→きや」「がっこう→がこう」手拍子でモーラ分け:「が|っ|こ|う」

訓練の前に「聞き分け(音韻弁別)」を整えるとスムーズです。無理な反復は逆効果なので、短時間・楽しくが鉄則。

STが見る“ことばの土台”

  • 聴覚:中耳炎の既往、聞き返しの多さ。必要に応じて耳鼻科・聴力検査をご案内。
  • 口腔機能:唇・舌・顎の協調、咀嚼・嚥下、よだれ、偏食。
  • 認知・注意:順序立て、ワーキングメモリ、模倣。
  • 社会性・遊び:共同注意、順番・ルール、象徴遊び。
  • 環境:生活リズム、スクリーン時間、言語モデル(話し方・語彙の質)。

早めに相談したいサイン(目安)

  • 10か月:喃語が乏しい/音への反応が弱い
  • 12–15か月:指さし・身振りが出ない
  • 16–18か月:単語が出ない
  • 24か月:語彙が50語未満+2語文が出ない
  • 3歳:不慣れな大人にほとんど通じない/簡単な指示が入りにくい
  • 4–5歳:拗音・促音・ら行の誤りが非常に多く意思伝達が阻害
  • どの年齢でも:退行(できていたことができなくなる)、つよい偏食・むせ、声がかすれる/鼻声が続く、吃音が6か月以上強く続き苦しそう

家庭でできる関わり(今日からできる即効ヒント)

  • 実況・解説(コメント型):質問攻めを減らし、「今していること」を短文で言語化(例:「積み木高くなったね!」)。
  • 拡大・言い換え(リキャスト):子の発話に1語プラス(「バス!」→「おおきいバスだね」)。
  • モーラ遊び:手拍子で拍を刻む、「が|っ|こ|う」「き|ゃ|べ|つ」。
  • 絵本の対話読み:指さし→「どっち?」→「どうして?」と段階的に。
  • 音の聞き分け:最小対立の遊び(「さ↔しゃ」「ら↔な」)。正解は笑顔で短くフィードバック。
  • 口の体操=NG:意味のない“口だけ体操”より、ことば・食べる・ふくなど機能につながる活動を。
  • スクリーンは共同視聴:一緒に観て、一緒に話す。独り視聴の長時間化は×。

評価と支援の流れ

  • 聞き取り(既往歴・生活・気になる場面)
  • 観察(遊び・コミュニケーション・食事)
  • 必要に応じた検査(語彙・理解・構音・音の聞き分け・口腔機能)
  • 目標設定(機能+日常場面の両輪)
  • 介入(週○回/家庭への宿題は“短く・楽しく・毎日1~3分”)
  • 医療・教育・福祉と連携(園・学校・主治医・耳鼻科など)

よくある質問

  • 発音矯正は何歳から? 誤りの種類によります。聞き分け・模倣が整う3–4歳以降が多いですが、拗音・ら行は5–6歳でも自然改善が見られます。日常で支障があれば早めに相談を。
  • 吃音はどう関わる? 急かさない・遮らない・言い直しを迫らない。ゆっくり話すモデルを大人が示す。6か月以上強く続く、本人が苦しそうなら受診へ。
  • 二言語環境は不利? 適切なインプットがあれば原則不利ではありません。各言語の「質と量」を確保する工夫が大切です。

まとめ

  • ことばは「聞く・話す・食べる・遊ぶ」の総合力。
  • 発音は母音→口唇音→舌先音→摩擦音・拗音→ら行の順にまとまりやすい。
  • 迷ったら“早めに軽く相談”が最短ルート。家庭ではコメント型の関わり+音の遊びが効きます。
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赤瀬 匠弥
赤瀬 匠弥
言語聴覚士
言語聴覚士として小児分野の全ての悩みをカバーします。お気軽にご相談ください。
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